法人が経済活動を営むなかで経済的利益を供与する動機・態様も様々であることから、寄附金か否かの判断には、複雑なものがある。更に、寄附金の損金不算入制度においては国等に対する寄附金の全額損金算入にみられるように、その支出先等により異なる扱いが定められているほか、損金算入限度額の計算が法人の種類等に応じて...
法人が経済活動を営むなかで経済的利益を供与する動機・態様も様々であることから、寄附金か否かの判断には、複雑なものがある。更に、寄附金の損金不算入制度においては国等に対する寄附金の全額損金算入にみられるように、その支出先等により異なる扱いが定められているほか、損金算入限度額の計算が法人の種類等に応じて異なっているなど、その仕組みも単純ではなく、それが租税負担に与える影響も少なくない。このため、法人税の実務に携わる方々だけでなく、法人の経営にかかわる方々にとっても、寄附金の損金不算入制度の正確な知識を身につけておくことが極めて有益なことであると考えられる。本書は、前回版(平成22年1月刊)以降10年振りの改訂により、内容の全面的な見直しを行い、最新の内容にアップデートした実例問答を168問収録!寄附金に関する税務実務に必須の関係法令等も収録した実務対応必携書!
主要目次
第1部 寄附金課税の概要
1 寄附金支出の実態
2 寄附金課税の趣旨
3 寄附金課税の概要
4 寄附金の意義
5 経済的な利益の供与
6 寄附金と他の費用との区分
7 みなし寄附金
8 寄附金の支出
9 寄附金の損金算入額
10 寄附金の支出額の計算
11 寄附金の申告等
12 連結納税制度における寄附金課税
第2部 寄附金課税の具体的取扱い
{注 他の項目にも関連する事例についてはその関連する他の項目の箇所にも事例番号に( )を付して表示している。}
第1 寄附金の範囲(経済的利益の供与)
〔金銭その他の資産の贈与〕
1 親会社に対する内容不明の負担金
2 祭礼等に際して寄贈する金品の費用
3 再建会社による切捨債務の一部弁済
4 環境づくり推進イベントの主催者に対して協賛金を支出する場合
(関連事例番号)
(39) 協同組合の一部の組合員が支出する特別会費
(41) 労働組合のスト等により発生した損害の相互補償制度に係る負担金
(42) 共同開発会社に拠出する赤字補填金
(43) スーパー進出に伴う地元に対する公共施設等の贈呈費用
(45) 埋立地の堤防用地の寄附
(46) 鉄道新線建設に伴う公道の付替費用
(47) 工場用地への進入道路の市への寄附
(60) 従業員持株会に支出する奨励金
(61) 健康保険組合に対する助成金
(63) プロスポーツチームに対するグループ会社による損失補填
(90) 貸倒損失のメーカー負担
(91) 漁業組合が組合員に対して交付する助成金
(93) 協同組合の組合員が負担した固定資産税相当額を補填した場合
(94) 自社製品の被災者に対する提供
(102) 民有護岸とその敷地の県への寄附
(103) 地方公共団体に対する寄附金とされない支出金
(132) 金銭以外の資産を帳簿価額で寄附した場合
(133) 絵画を寄附した場合の時価と消費税
〔資産の無償譲渡〕
5 売主名義となっていた分譲地内の道路用地を無償で分譲地所有者名義に変更する場合
6 相当の地代の引下げと権利金の認定
7 仮店舗用地の無償借受けと使用後の店舗の無償譲渡
8 建物の老朽化に伴う借地権の無償返還
9 借地権の無償返還及びそれに伴う建物の無償譲渡
10 ゴルフ練習場用地の無償返還
11 フードバンクへ食品を提供した場合の取扱い
(関連事例番号)
(48) 工場周辺の住民のための共聴アンテナの設置費用
(50) 市場開拓のための専用工具の無償提供
(66) チャリティーオークション用の車の寄附
(151) メーカー名入り看板の無償取得
(152) 商品名のみを表示したネオンサイン付鉄製広告塔の授受
(153) 広告宣伝用資産の贈与を受けた場合
〔資産の低額譲渡〕
12 資産の低額譲渡
13 底地権の延払条件付譲渡
14 取引関係者間の低廉譲渡
15 公団指導に基づく分譲地の子会社への低額譲渡
16 臨海工業団地内における土地の譲渡価額
17 交換譲渡資産の低額見積り
18 相対取引により取得した上場株式
(関連事例番号)
(54) 展示用モデルハウス建設費用のメーカー一部負担
(149) 親会社の資産を帳簿価額で取得した場合
〔資産の高額譲受け〕
19 固定資産の高価買入れ
20 子会社の倒産に伴う子会社株式の買取り損失
21 鑑定時価に差異のある資産を交換した場合の取扱い
22 高価下取りの処理
(関連事例番号)
(46) 鉄道新線建設に伴う公道の付替費用
(49) 企業支配をするために株式を時価よりも高く購入した場合
(72) 子会社等の再建支援のために不良債権を帳簿価額で買い取る場合
〔債権放棄(債務免除)〕
23 更生手続中における債権放棄
24 貸倒損失と寄附金との区分
25 下請先との取引停止に当たり債権を放棄した場合
26 民事再生法の再生計画による債権放棄の損金算入時期
27 特定調停において貸倒損失に該当する債権放棄
28 特定調停において債権者が債権を回収することができない場合
(関連事例番号)
(71) 子会社の再建のために行う債権放棄等
(75) 子会社の再建支援と移転価格税制との関係
(88) 大口の債権者(親会社)のみが債権放棄する場合
(95) 災害の場合における売掛債権に係る債務免除
〔債務の無償引受け〕
29 子会社等を整理する場合の損失負担等
30 下請業者の負担を一部肩代わりした場合
(関連事例番号)
(19) 固定資産の高価買入れ
〔代替負担〕
31 子会社の経費を親会社が代わって負担する場合
(関連事例番号)
(71) 子会社の再建のために行う債権放棄等
(81) 支援者にとって損失負担等を行う相当な理由
(96) 下請業者に対する有償支給材の被災損失の負担
〔無償による役務提供〕
32 特定調停における弁済期限の延長等が行われた場合の債権者の
取扱い
33 取引先に対する無利息貸付けによる経済的利益の供与
34 無利子で預かる建設運営協力金について
35 土地と建物との相互貸借
36 建物の無償借受けに伴う金銭の無利息預託
37 定額利益保証契約の販売員への営業事務所の無償提供
(関連事例番号)
(13) 底地権の延払条件付譲渡
(57) 役員に対する臨時的な無利息貸付金に係る賞与・報酬の区分
(68) 会社の創立記念に老人ホームの人達を観劇等に招待する費用
(75) 子会社の再建支援と移転価格税制との関係
(130) 経済的利益の額の計算における利率
(131) 経済的利益の額の計算における家賃
〔低い対価による役務提供・役務提供の対価の高額支払〕
38 共同設立した電力会社の実費相当額での電力供給
(関連事例番号)
(6) 相当の地代の引下げと権利金の認定
(9) 借地権の無償返還及びそれに伴う建物の無償譲渡
(58) 出向先法人が出向元法人に対して出向者の給与相当額以上の負担金を支出した場合
(99) 被災した子会社に対する低利融資等
(150) 代表者に対する支払家賃の引下げ
(155) 権利金とみなされる経済的利益
第2 隣接費用との区分
〔分担金と寄附金〕
39 協同組合の一部の組合員が支出する特別会費
40 国際会議に係る業界負担金の取扱い
41 労働組合のスト等により発生した損害の相互補償制度に係る負担金
42 共同開発会社に拠出する赤字補填金
(関連事例番号)
(1) 親会社に対する内容不明の負担金
(51) C市が行う歩道改修工事費用の分担
(52) 会館建設のための分担金
(97) 災害見舞金に充てるための同業団体への分担金
〔取得費用と寄附金〕
43 スーパー進出に伴う地元に対する公共施設等の贈呈費用
44 ゴルフ場開発を機に支出する地域住民が利用する簡易水道の工事負担金
45 埋立地の堤防用地の寄附
46 鉄道新線建設に伴う公道の付替費用
47 工場用地への進入道路の市への寄附
48 工場周辺の住民のための共聴アンテナの設置費用
49 企業支配をするために株式を時価よりも高く購入した場合
(関連事例番号)
(17) 交換譲渡資産の低額見積り
(19) 固定資産の高価買入れ
(21) 鑑定時価に差異のある資産を交換した場合の取扱い
〔繰延資産と寄附金〕
50 市場開拓のための専用工具の無償提供
51 C市が行う歩道改修工事費用の分担
52 会館建設のための分担金
53 体育館建設のための負担金
54 展示用モデルハウス建設費用のメーカー一部負担
(関連事例番号)
(14) 取引関係者間の低廉譲渡
(44) ゴルフ場開発を機に支出する地域住民が利用する簡易水道の工事負担金
(47) 工場用地への進入道路の市への寄附
(103) 地方公共団体に対する寄附金とされない支出金
(105) 公共事業に係る寄附金
(152) 商品名のみを表示したネオンサイン付鉄製広告塔の授受
〔給与と寄附金〕
55 社長が居住する町への寄附金
56 社長の出身校に対する寄附金
57 役員に対する臨時的な無利息貸付金に係る賞与・報酬の区分
58 出向先法人が出向元法人に対して出向者の給与相当額以上の負担金を支出した場合
59 出向者に対する給与較差補填のための負担金
(関連事例番号)
(98) ボランティア活動中の給与相当額
(104) 社長の出身地の地方公共団体に対する寄附金
〔福利厚生費と寄附金〕
60 従業員持株会に支出する奨励金
61 健康保険組合に対する助成金
62 死亡した元役員に対する弔慰金
〔広告宣伝費と寄附金〕
63 プロスポーツチームに対するグループ会社による損失補填
64 実業団バレーボールクラブ後援会の会費
65 米国で行う同業団体名のCM料の負担
66 チャリティーオークション用の車の寄附
(関連事例番号)
(2) 祭礼等に際して寄贈する金品の費用
(4) 環境づくり推進イベントの主催者に対して協賛金を支出する場合
(11) フードバンクへ食品を提供した場合の取扱い
(94) 自社製品の被災者に対する提供
〔交際費等と寄附金〕
67 得意先が加入する同業者団体に支出した協賛金
68 会社の創立記念に老人ホームの人達を観劇等に招待する費用
69 政経文化パーティーへの参加費用
〔事業上必要な経費と寄附金〕
70 子会社等の合併・営業譲渡のための損失負担
71 子会社の再建のために行う債権放棄等
72 子会社等の再建支援のために不良債権を帳簿価額で買い取る場合
73 「子会社等」の範囲(主要な得意先)
74 「子会社等」の範囲(仕入先)
75 子会社の再建支援と移転価格税制との関係
76 合理的な再建計画
77 特定調停法において求められる「経済的合理性」
78 私的整理のガイドラインを利用した債権放棄等
79 合理的な再建計画に基づきデット・エクイティ・スワップが行われた場合の取扱い
80 債務超過の状態にない子会社等の再建支援
81 支援者にとって損失負担等を行う相当な理由
82 損失負担額の合理性
83 再建管理の必要性と方法
84 支援者が複数の場合の損失負担割合の合理性
85 支援者によって支援方法が異なる場合
86 支援者の範囲の相当性
87 債務超過である子会社が支援を行うことについての経済合理性
88 大口の債権者(親会社)のみが債権放棄する場合
89 子会社の労使紛争解決に伴い親会社が支出する和解金
90 貸倒損失のメーカー負担
91 漁業組合が組合員に対して交付する助成金
92 農業協同組合連合会が行う農畜産物品評会の表彰費用
93 協同組合の組合員が負担した固定資産税相当額を補填した場合
(関連事例番号)
(14) 取引関係者間の低廉譲渡
(20) 子会社の倒産に伴う子会社株式の買取り損失
(22) 高価下取りの処理
(25) 下請先との取引停止に当たり債権を放棄した場合
(29) 子会社等を整理する場合の損失負担等
(30) 下請業者の負担を一部肩代わりした場合
(32) 特定調停における弁済期限の延長等が行われた場合の債権者の取扱い
(33) 取引先に対する無利息貸付けによる経済的利益の供与
(34) 無利子で預かる建設運営協力金について
(99) 被災した子会社に対する低利融資等
〔災害関連費等と寄附金〕
94 自社製品の被災者に対する提供
95 災害の場合における売掛債権に係る債務免除
96 下請業者に対する有償支給材の被災損失の負担
97 災害見舞金に充てるための同業団体への分担金
98 ボランティア活動中の給与相当額
99 被災した子会社に対する低利融資等
100 風水害等の被災者救援のためにした寄附金
第3 国等に対する寄附金
101 外国に対する寄附金
102 民有護岸とその敷地の県への寄附
103 地方公共団体に対する寄附金とされない支出金
104 社長の出身地の地方公共団体に対する寄附金
105 公共事業に係る寄附金
106 国等が寄附金を受け入れた場合に交付する書類
107 学校拡張のための後援会に対して支出した寄附金
108 NPO活動を助成するために地方公共団体が設けた基金に対して寄附を行った場合
109 募金団体を通じる寄附金の確認手続
110 オフセット・クレジット(J-クレジット)の取扱い
(関連事例番号)
(43) スーパー進出に伴う地元に対する公共施設等の贈呈費用
(44) ゴルフ場開発を機に支出する地域住民が利用する簡易水道の工事負担金
(45) 埋立地の堤防用地の寄附
(46) 鉄道新線建設に伴う公道の付替費用
(47) 工場用地への進入道路の市への寄附
(51) C市が行う歩道改修工事費用の分担
(55) 社長が居住する町への寄附金
(56) 社長の出身校に対する寄附金
(100) 風水害等の被災者救援のためにした寄附金
(123) 公益法人等が公益事業会計から支出した国等への寄附金
第4 指定寄附金
111 政治団体に対する賛助金等
112 指定寄附金の告示
113 指定寄附金の申請手続
第5 特定公益増進法人等に対する寄附金
〔特定公益増進法人に対する寄附金〕
114 特定公益増進法人に対する寄附金とその手続
115 学校法人の設立認可前の寄附金の支出
116 特定公益増進法人の基本財産を増額するための寄附金
〔認定NPO法人等に対する寄附金〕
117 認定NPO法人等に対する寄附金
第6 特定公益信託の信託財産とするための金銭の支出
118 特定公益信託の信託財産とするための支出
119 特定公益信託の証明又は認定特定公益信託の認定を受けるための手続
第7 収益事業から非収益事業への支出
120 非収益事業部門へ支出した金銭等
121 寄附金の額に見合う金額の元入れ
122 収益事業から非収益事業に係る指定寄附金として振り替えた場合
123 公益法人等が公益事業会計から支出した国等への寄附金
(関連事例番号)
(144) 公益法人等が収益事業の剰余金を非収益事業に支出した場合の取扱い
第8 寄附金の支出の意義
124 仮払寄附金の取扱い
125 手形や先日付小切手で支払った寄附金の損金算入時期
126 指定寄附金の支出の時期
127 特定公益増進法人に対する寄附金の支出時期
128 公益法人等設立前の寄附金
129 社内に寄附機関たる財団を設けて寄附する場合の取扱い
第9 寄附金の額の算定
130 経済的利益の額の計算における利率
131 経済的利益の額の計算における家賃
132 金銭以外の資産を帳簿価額で寄附した場合
133 絵画を寄附した場合の時価と消費税
第10 損金算入限度額の計算
134 利益処分で支出した寄附金
135 少額寄附金の取扱い
136 資本金等の額の計算
137 人格のない財団の資本金等の額
138 収益事業に係る申告における寄附金の損金算入限度額
139 公益法人等に該当しない一般財団法人の申告における寄附金の損金算入限度額
140 公益財団(社団)法人のみなし寄附金に係る損金算入限度額
141 外国法人の資本基準額
142 欠損法人の寄附金の損金算入限度額の計算
143 特定公益増進法人に対する寄附金の特例
144 公益法人等が収益事業の剰余金を非収益事業に支出した場合の取扱い
145 公益法人等が解散し、土地建物を他の公益法人等に寄附した場合の取扱い
146 国外関連者に対する寄附金と移転価格税制との関係
147 移転価格税制の対象となる国外関連者の範囲
第11 寄附(経済的利益の供与)を受けた法人の課税関係
148 収益事業に関して受ける寄附金収入
149 親会社の資産を帳簿価額で取得した場合
150 代表者に対する支払家賃の引下げ
151 メーカー名入り看板の無償取得
152 商品名のみを表示したネオンサイン付鉄製広告塔の授受
153 広告宣伝用資産の贈与を受けた場合
154 未払役員給与の免除益
155 権利金とみなされる経済的利益
156 機能復旧補償金による固定資産の取得
157 特定調停を申し立てた法人債務者の取扱い
(関連事例番号)
(14) 取引関係者間の低廉譲渡
(54) 展示用モデルハウス建設費用のメーカー一部負担
(79) 合理的な再建計画に基づきデット・エクイティ・スワップが行われた場合の取扱い
第12 100%グループ内の法人間の寄附
158 完全支配関係がある他の内国法人に対する寄附金
159 完全支配関係がある内国法人間での資産の譲渡
160 完全支配関係のある内国法人間の支援損について
161 完全支配関係がある内国法人に対する経済的利益の供与
162 受贈益の額に対応する寄附金
163 債権者と債務者で金額が異なる債権を放棄した場合
第13 連結納税制度
164 連結納税制度における寄附金課税
165 連結損金算入限度額
166 寄附金の損金不算入の個別帰属額
167 連結法人間の寄附の取扱い(連結法人税の個別帰属額)
第14 いわゆる「企業版ふるさと納税制度」
168 認定地方公共団体の寄附活用事業に関連する寄附金
第3部 関係法令等
■ 参考法令(令和2年1月1日現在)
○ 法人税法(抄)
○ 法人税法施行令(抄)
○ 法人税法施行規則(抄)
○ 租税特別措置法(抄)
○ 租税特別措置法施行令(抄)
○ 租税特別措置法施行規則(抄)
○ 特定非営利活動促進法(抄)
○ 申告書別表(十四(二)・同付表)
■ 法人税基本通達(抄)
■ 連結納税基本通達(抄)
■ 租税特別措置法関係通達(法人税編)(抄)
■ 租税特別措置法関係通達(連結納税編)(抄)
■ 個別通達
○ 適正評価手続に基づいて算定される債権及び不良債権担保不動産の価額の税務上の取扱いについて
○ 国等に対する寄附金又は災害義援金等に関する確認事務について
○ 認定特定非営利活動法人制度に関する認定申請書等の様式について
■ 文書回答等
■ 判決例要旨
■ 裁決例要旨
■ 寄附金課税制度の沿革
■ 指定寄附金一覧