民法は、明治29年に制定されて以来、はじめて大きな改正を経ることになった。平成29年 5月26日「民法の一部を改正する法律」及び「民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」は成立し、平成29年6月2日公布、令和2年4月1日から施行となる。今回の改正にあたっては、財産法につき解...
民法は、明治29年に制定されて以来、はじめて大きな改正を経ることになった。平成29年 5月26日「民法の一部を改正する法律」及び「民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」は成立し、平成29年6月2日公布、令和2年4月1日から施行となる。今回の改正にあたっては、財産法につき解釈適用するにあたって蓄積されている判例法理が膨大になっており、また実務で受け入れられている学説上の考え方が解釈の前提となっているものも多く、これらについて立法措置をとることが中心となっている。さらに、現代社会のニーズに合わせた改正点も少なくなく、明治29年の制定以来初めてといってよい大改正となっている。
本書は、「民法の一部を改正する法律」の内容を盛り込み、改正後民法については「〜平成29年民法改正でここが変わった〜」というタイトルにして別立てで、改正前民法と比較する形で改正の内容を解説。平成29年改正の内容を織り込んだ民法の総則・物権部分の全体像がどのようになるのかを示す解説書。民法を専門的に取り扱っていない士業の方や一般の方を対象としたベーシックな解説書として利用でき、図表・チャートをふんだんに使用して理解しやすさを重視した図解シリーズの1冊。
平成29年改正等については、本書射程外の規定についても、関連のある債券法改正、相続法改正にも言及して解説。
主要目次
第1編 総 則
第1章 通 則
第1 序説
1 民法の意義
2 私権の意義
3 私権の分類
⑴ 財産権・非財産権
⑵ 支配権・請求権・形成権・抗弁権・管理権
⑶ 絶対権・相対権
⑷ 一身専属権・非専属権
⑸ 主たる権利・従たる権利
4 民法総則の内容
⑴ 民法の構造
⑵ 民法総則の構成
第2 民法の基本原則
1 公共の福祉による私権の制限
2 信義誠実の原則
⑴ 信義誠実の原則の意義
⑵ 信義則を具体化する諸原則・諸法理
⑶ 契約関係において信義則が問題となった裁判例
3 権利濫用の禁止
⑴ 権利濫用の禁止の意義
⑵ 権利濫用の要件
⑶ 権利濫用禁止の効果
⑷ 権利濫用禁止の適用例
4 自力救済の禁止
第3 解釈の基準
1 民法第2条の趣旨
2 個人の尊厳
3 両性の本質的平等
第2章 人
第1 人
1 人とは
2 権利能力
⑴ 権利能力の意義
⑵ 権利能力の始期
⑶ 権利能力の終期
⑷ 外国人の権利能力
3 意思能力と行為能力
⑴ 意思能力
⑵ 行為能力
4 制限行為能力者制度
⑴ 未成年者
⑵ 成年被後見人
⑶ 被保佐人
⑷ 被補助人
⑸ 任意後見制度
⑹ 制限行為能力者の相手方の保護
5 住所
⑴ 住所
⑵ 居所
⑶ 仮住所
6 不在者
⑴ 不在者の財産の管理
⑵ 請求権者
⑶ 財産管理人の職務
⑷ 財産管理人の権限
⑸ 財産管理人の担保提供及び報酬
7 失踪者
⑴ 失踪宣告
⑵ 失踪の宣告の効力
⑶ 失踪の宣告の取消し
第3章 法 人
第1 法人
1 法人とは
2 法人の分類
⑴ 社団法人と財団法人
⑵ 営利法人と非営利法人
3 法人類似の団体─権利能力なき社団
⑴ 権利能力なき社団の成立要件
⑵ 権利能力なき社団の権利義務関係
4 法人格否認の法理
5 法人の能力
⑴ 法人の権利能力
⑵ 法人の行為能力
⑶ 法人の不法行為能力
6 一般法人法と公益法人法
⑴ 一般法人法・公益法人法に基づく法人
⑵ 法人の設立
⑶ 法人の機関
⑷ 法人の消滅
⑸ 公益法人認定制度
7 外国法人
第4章 物
第1 物
1 権利の客体としての物
⑴ 物の意味
⑵ 有体物
⑶ 物の分類
2 不動産と動産
⑴ 物の区分
⑵ 不動産
⑶ 動産
3 主物と従物
⑴ 主物と従物の意義
⑵ 従物の要件
4 元物と果実
⑴ 区別の意義
⑵ 天然果実
⑶ 法定果実
第5章 法律行為
第1 総説
1 法律行為とは
⑴ 法律要件と法律効果
⑵ 法律事実
⑶ 意思表示と準法律行為
⑷ 法律行為と意思表示
2 法律行為の種類
⑴ 意思表示の結合の仕方による分類
⑵ 発生する効果による分類
⑶ 意思表示の形式による分類(要式行為・不要式行為)
⑷ その他の分類
3 法律行為自由の原則
4 法律行為の要件
⑴ 成立要件
⑵ 当事者にかかわる一般的有効要件
⑶ 法律行為の内容についての一般的有効要件
5 法律行為の解釈
⑴ 法律行為の解釈が必要な理由
⑵ 法律行為解釈の作業
第2 意思表示 73
1 意思表示とは
2 心裡留保
⑴ 心裡留保とは
⑵ 心裡留保の効果
3 虚偽表示
⑴ 虚偽表示とは
⑵ 虚偽表示の効力
⑶ 94条2項類推適用
4 錯誤による意思表示
⑴ 表示錯誤と動機錯誤
⑵ 錯誤による意思表示の取消し
5 詐欺による意思表示
⑴ 意義
⑵ 民法96条の詐欺が認められる要件
⑶ 第三者による詐欺
⑷ 詐欺による取消しと第三者
6 強迫による意思表示
⑴ 意義
⑵ 民法96条の強迫が認められるための要件
⑶ 強迫の効果
7 意思表示の到達と受領
⑴ 意思表示の効力発生時期
⑵ 表意者の死亡、意思能力喪失又は行為能力制限の影響
⑶ 公示の方法による意思表示
⑷ 意思表示の受領能力
第3 代理
1 代理の法律関係
⑴ 代理の意義
⑵ 代理制度の必要性
⑶ 代理と類似の概念
2 代理権
⑴ 代理権の発生原因
⑵ 代理権の範囲
⑶ 復代理
⑷ 代理権の消滅
3 代理行為
⑴ 顕名
⑵ 代理行為の瑕疵
⑶ 代理人の能力
4 無権代理
⑴ 無権代理とは
⑵ 本人がとり得る手段 追認・追認拒絶
⑶ 相手方がとり得る手段
5 表見代理
⑴ 表見代理とは
⑵ 代理権授与表示による表見代理
⑶ 権限外の行為の表見代理
⑷ 代理権消滅後の表見代理
⑸ 複合型の表見代理
⑹ 表見代理の効果
第4 無効及び取消し
1 序説
2 無効
⑴ 無効行為の基本的効果
⑵ 一部無効
⑶ 無効行為の転換
⑷ 無効行為の追認
3 取消し
⑴ 取消しの意義
⑵ 取消権者
⑶ 取消しの方法
⑷ 取消しの効果
⑸ 取り消すことができる行為を有効な行為として確定する事由
4 無効と取消しの競合
第5 条件及び期限
1 条件
⑴ 条件の意義
⑵ 条件を付すことのできない法律行為
⑶ 条件の一般的効果
⑷ 条件である事実が特殊なものである場合の法律行為の効力
2 期限
⑴ 期限の意義
⑵ 期限を付すことのできない法律行為
⑶ 期限付法律行為の効力
⑷ 期限の利益
第6章 期間の計算
第1 期間の計算
1 期間の意義
2 期間の計算方法
第7章 時 効
第1 時効制度
1 意義
2 種類
3 時効の一般的要件
4 除斥期間
第2 総則
1 時効の遡及効
⑴ 意義
⑵ 取得時効の起算点
⑶ 消滅時効の起算点
2 時効の援用
⑴ 意義
⑵ 援用権者
⑶ 援用の効力
3 時効利益の放棄
⑴ 意義
⑵ 時効完成後の債務承認
⑶ 放棄の効力
4 時効障害
⑴ 時効の完成猶予及び更新の意義
⑵ 時効の完成猶予と猶予期間
⑶ 時効の更新と更新の起算点
⑷ 完成猶予又は更新の効力
第3 取得時効
1 取得時効の対象となる権利・対象とならない権利
2 取得時効の要件
3 取得時効の中断
4 取得時効の効果
第4 消滅時効
1 消滅時効の対象となる権利・対象とならない権利
2 消滅時効の要件
⑴ 債権の消滅時効
⑵ 債権又は所有権以外の財産権の消滅時効
⑶ 人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の特則
⑷ 定期金債権の特則
⑸ 判決等で確定した権利の消滅時効
3 消滅時効の効果
第2編 物 権
第1章 物 権
第1 物権総論
1 意義
2 物権の効力
⑴ 物権に共通の効力
⑵ 物権的請求権(物上請求権)
第2 総則
1 物権変動の概要
⑴ 物権変動の分類
⑵ 公示の原則と公信の原則
2 物権法定主義(民175)
3 物権の設定・移転(意思主義)
4 不動産物権変動の対抗要件(登記・民177)
⑴「対抗することができない」の意味
⑵ 登記を必要とする不動産物権
⑶ 登記を必要とする物権変動
⑷ 登記がなければ対抗できない「第三者」の範囲
5 登記制度
⑴ 登記の公信力
⑵ 登記記録と登記の分類
⑶ 登記が物権変動の過程を如実に示さない場合等
6 登記請求権
7 動産物権の対抗要件(民178)
⑴ 引渡しの意義
⑵ 引渡しの対抗力
⑶ 第三者の範囲
8 混同(民179)
⑴ 所有権と制限物権の混同
⑵ 制限物権とこれを目的とする他の物権の混同
⑶ 占有権と所有権の混同
第3 占有権
1 占有の意義
⑴ 占有制度
⑵ 占有権とは
2 占有権の取得
⑴ 要件
⑵ 効果
⑶ 代理占有
⑷ 占有の種類
⑸ 占有権の承継
⑹ 占有の性質の変更
⑺ 占有態様等に関する推定
⑻ 占有の承継の効果
3 占有権の効力
⑴ 占有物について行使する権利の適法の推定
⑵ 占有者と果実
⑶ 占有者による損害賠償
⑷ 即時取得
⑸ 盗品又は遺失物の回復
⑹ 動物の占有による権利の取得
⑺ 占有者による費用償還請求
⑻ 占有の訴え
4 占有権の消滅
⑴ 占有者自らが物を所持する場合
⑵ 代理占有の場合
5 準占有
⑴ 意義
⑵ 要件
⑶ 効果
第4 所有権
1 意義と性質
⑴ 所有権とは
⑵ 所有権の性質
⑶ 所有権の内容
⑷ 所有権の制限
⑸ 土地所有権の範囲
2 相隣関係
⑴ 意義
⑵ 境界と筆界
⑶ 相隣関係の判例
3 所有権の取得
⑴ 所有権の取得原因
⑵ 無主物の帰属
⑶ 遺失物の拾得
⑷ 埋蔵物発見
⑸ 添付
4 共同所有関係
⑴ 共同所有とは
⑵ 共有の法律的性質
⑶ 内部関係
⑷ 対外関係
⑸ 共有物の分割
⑹ 共有の性質を有する入会権(民263)
⑺ 準共有
5 建物の区分所有
第5 地上権
1 地上権とは
2 地上権の成立
3 地上権の効力
⑴ 地上権の範囲
⑵ 地上権者、土地所有者の権利義務
4 地代
⑴ 地代の支払義務
⑵ 地代未払の効果
5 相隣関係の規定の準用
6 地上権の存続期間
⑴ 期間の定めのある地上権、期間の定めのない地上権
⑵ 土地所有者からの地上権消滅請求
7 工作物等の収去等
8 地下又は空間を目的とする地上権
⑴ 地下又は空間を目的とする地上権の必要性
⑵ 地下又は空間を目的とする地上権の内容
⑶ 第三者の土地利用権との関係
第6 永小作権
1 永小作権とは
2 永小作権の設定
3 永小作権の効力
⑴ 存続期間
⑵ 使用方法
⑶ 譲渡・賃貸
4 永小作権の小作料支払義務
5 永小作権の消滅
第7 地役権
1 地役権の意義、機能
⑴ 地役権とは
⑵ 地役権と賃貸借との違い
2 地役権の種類
3 地役権の付従性・不可分性
⑴ 付従性
⑵ 不可分性
4 地役権の取得
⑴ 地役権者
⑵ 地役権の取得
⑶ 対抗要件
5 地役権の効力
⑴ 対価
⑵ 存続期間
⑶ 地役権者の権利
⑷ 承役地所有者の権利義務
6 地役権の消滅
7 入会権その他の用益物権
⑴ 入会権
⑵ その他の用益物権
第2章 担保物権
第1 留置権
1 留置権とは
⑴ 留置権の意義
⑵ 留置権と同時履行の抗弁との異同
2 留置権の成立要件
⑴ 債権と物の牽連関係
⑵ 弁済期
⑶ 他人の物の占有を有すること
⑷ 占有が不法行為によって始まったものでないこと
3 留置権の通用性と効力
4 留置権の消滅
5 商事留置権
第2 先取特権
1 先取特権とは
2 先取特権の通用性と効力
3 先取特権の種類
⑴ 一般の先取特権
⑵ 特別の先取特権
⑶ 特別法の先取特権
4 先取特権の優先順位
⑴ 一般の先取特権の優先順位
⑵ 動産の先取特権の優先順位
⑶ 不動産の先取特権相互間の順位
⑷ 同一順位の先取特権相互間
⑸ 他の担保物権との優先関係
5 先取特権の効力
⑴ 物上代位
⑵ 優先弁済的効力
⑶ 第三取得者との関係
⑷ 一般の先取特権の特則
⑸ 不動産の先取特権の特則
第3 質権
1 質権とは
2 質権の成立
⑴ 当事者
⑵ 目的物
⑶ 目的物の「引渡し」
⑷ 被担保債権
⑸ 流質契約の禁止
3 質権の効力
⑴ 質権の効力の種類
⑵ 転質について
4 質権者の義務
5 質権の目的物によって異なる性質
⑴ 動産質
⑵ 不動産質
⑶ 権利質
第4 抵当権
1 抵当権とは
⑴ 抵当権の意義
⑵ 抵当権設定契約
⑶ 抵当権の対抗要件
⑷ 抵当権相互間の順位並びに他の債権・担保物権との順位
⑸ 抵当権の被担保債権
⑹ 抵当権の通用性と効力
2 抵当権の効力
⑴ 優先弁済権の範囲
⑵ 抵当権の効力が及ぶ目的物の範囲(付加一体物)
⑶ 抵当権の効力が及ぶ目的物の範囲(果実)
⑷ 物上代位
⑸ 物上保証人の求償関係
⑹ 抵当不動産の第三取得者の保護
⑺ 抵当不動産の利用権の保護
3 抵当権の実行
⑴ 優先弁済権の実現方法
⑵ 担保不動産競売の要件
⑶ 担保不動産競売の手続
⑷ 担保不動産収益執行
4 抵当権の侵害に対する保護
⑴ 抵当権の侵害に対する保護
⑵ 物権的請求権
⑶ 不法行為に基づく損害賠償請求
⑷ 期限の利益喪失
⑸ 増担保請求
5 抵当権の処分
⑴ 抵当権の処分とは
⑵ 転抵当
⑶ 抵当権の譲渡・放棄
⑷ 抵当権の順位の譲渡・放棄
⑸ 抵当権の順位の変更
6 共同抵当
⑴ 共同抵当とは
⑵ 共同抵当の設定と公示
⑶ 共同抵当の効力
7 抵当権の消滅
⑴ 抵当権の消滅時効
⑵ 抵当不動産の時効取得による抵当権の消滅
⑶ 抵当権の目的である地上権等の放棄
8 根抵当
⑴ 根抵当とは
⑵ 根抵当権の考え方
⑶ 根抵当権の設定
⑷ 根抵当権の変更
⑸ 根抵当権の処分
⑹ 根抵当関係と相続・合併・分割
⑺ 根抵当権の確定
⑻ 根抵当権の実行
⑼ 根抵当権の消滅
⑽ 共同根抵当
第5 その他の担保物権
1 民法以外の法律による抵当権
⑴ 立木抵当
⑵ 動産抵当
⑶ 抵当証券
⑷ 財団抵当・企業担保
2 譲渡担保
⑴ 譲渡担保とは
⑵ 譲渡担保の有効性
⑶ 譲渡担保の設定
⑷ 譲渡担保の対内的効力
⑸ 譲渡担保の対外的効力
⑹ 譲渡担保の実行
⑺ 集合動産・集合債権の譲渡担保
3 再売買の予約・買戻し
4 仮登記担保
⑴ 仮登記担保とは
⑵ 仮登記担保の設定・移転
⑶ 仮登記担保の効力
⑷ 仮登記担保権の実行
⑸ 受戻権
⑹ 法定借地権
⑺ 根仮登記担保
5 所有権留保
⑴ 売主の地位
⑵ 買主の地位
索引