財政不足の日本においては高額所得者及び富裕層に対し増税が図られており、平成27年の相続税の基礎控除引下げ・税率構造の見直しにより、相続税の課税割合も1.8倍以上になっています。一方、子や孫に対する贈与税が暦年と精算課税の両制度において緩和され、住宅取得や教育、結婚、子育て等の次世代応援のための贈与税...
財政不足の日本においては高額所得者及び富裕層に対し増税が図られており、平成27年の相続税の基礎控除引下げ・税率構造の見直しにより、相続税の課税割合も1.8倍以上になっています。一方、子や孫に対する贈与税が暦年と精算課税の両制度において緩和され、住宅取得や教育、結婚、子育て等の次世代応援のための贈与税の大型減税も行われております。さらに、社会保障・税一体改革のインフラである、平成27年10月のマイナンバー法施行により、これからは資産や所得は透明化され、生前対策をしておかないと資産や事業の次世代への承継は困難です。加えて、戦後の民法改正により均分相続が原則となり、平成30年7月の相続法改正においても、配偶者の優遇策に焦点が合わされ、今や「遺産分け」と「相続税・贈与税」という大きな二つの問題で、財産を次世代に引き継ぐことが困難な状況です。
本書は、資産や事業の次世代への承継に成功する方法を理解し実践して頂くように、相続と税の成り立ちと変遷を読み解き、数多くの相談事例を解決してきた著者の経験をもとにわかりやすく解説します。平成30年7月の相続法改正に対応し、税制改正に盛り込まれた「特例納税猶予制度」を踏まえた事業承継対策等も収録した、安心な相続税申告と幸せな相続が迎えられる実務必携書!
主要目次
第1章 相続の今昔物語
1 相続分の主張や相続税の負担で近年の相続は大変
2 戦前は戸主一人が全財産を受け継ぐ"家督相続"
3 相続人と相続分の基本はこうなっている
4 生前贈与では遺産分けは解決できない!
5 相続開始時点の遺産は誰のもの
6 遺産分割は誰がどのように協議するのか
7 遺産分割が不調の場合はどのように解決するのか
8 遺言のみが法定相続分を変更できる
9 遺言の限界と遺留分
10 生前に遺留分放棄があれば安心
第2章 相続税の変遷
1 日本の相続税の幕開け
2 戦後から現在までの相続税の変遷
3 平成27年から相続税申告書の提出者が激増した
4 相続税は資産が高額な人ほど増税になる
5 相続税のあらましと仕組み
6 相続税の仕組みと計算方法
7 相続税における財産評価の仕組み
8 相続時精算課税の仕組みと暦年課税の関係
9 相続税を計算するには相続財産の確定が重要
第3章 贈与税&相続税の賢い活用
1 暦年課税は受贈者が直系卑属であれば税率が下がる
2 孫へ賢く贈与する方法
3 扶養義務者間における賢い贈与の基本
4 直系尊属からの住宅取得資金の賢い贈与
5 直系尊属からの教育資金の賢い贈与
6 直系尊属からの結婚・子育て資金の賢い贈与
7 障害のある人にあたたかい想いを贈与する方法
8 未成年者と障害者の相続税には特典がある
9 延納の利子税や延滞税率は非常に低くなっている
10 相続等をした自社株式の売却に限り譲渡所得とされる
第4章 生前にすべき相続&相続税対策
1 相続をよく理解し財産承継を考える
2 財産承継の生前準備の手順はまず現状分析から
3 不動産取得は相続税の超短期対策
4 将来を見据えて相続税対策を行う
5 税制上有利な不動産の生前贈与
6 不動産保有会社を活用する有利な相続
7 会社による不動産購入で相続税対策
8 相続に有利な生命保険契約
9 信託を活用して次の相続を指定する
10 自分の想いをまとめ遺言書を作成する
第5章 事例で学ぶ会社承継対策
1 相続で自社株式が準共有になると混乱も
2 遺留分に関する民法特例の賢い活用法
3 非上場株式等の贈与税の特例納税猶予制度の活用
4 非上場株式等の相続税の特例納税猶予制度の活用
5 特例納税猶予の対象となる会社の要件
6 自社株式の評価が下がった時に贈与する
7 円満に会社の株式を取得するための準備
8 種類株式の活用で会社の承継に成功する
9 信頼できる社員はベストな安定株主
10 高収益部門の営業譲渡による会社承継
第6章 安心な相続税申告に備えて
1 財産を正確に把握することが第一歩
2 税務当局は国外財産も含め、財産の把握に注力
3 遺産の申告漏れの指摘が多い金融資産の確認
4 遺産分割が確定しないデメリット
5 小規模宅地等の特例は都心地主への応援税制
6 税制上の特例により役員退職金を賢く受け取る
7 「誰」が「何」を相続するかが節税のポイント
8 相続税の延納と物納を理解し成功する準備をする
9 相続開始から6か月以内にすべきこと
10 申告手続きと安心な相続税申告をするための準備